この記事では、財政政策の決定の過程で、どのような行為主体がどのような行為を行い、そしてその過程になぜ多様性が生まれるのかをできる限り簡潔に解説します。
財政政策の決定過程での行為主体は誰か?
まず財政政策の決定の過程ではどのような行為主体が関わっているのか、まとめます。行為主体は、
行政の行為主体
行政の行為主体は、まず政府首脳が挙げられます(大統領、総理大臣など)。政府首脳は、自身の政策の方針を実現させるために、手段として財政を用います。 それから、産業、教育、社会保障、防衛といった各分野の官僚も、行為主体です。各事業官庁の官僚は、それぞれの自分の分野についてのサービスの供給のために予算を要求し、さらにはそれに関する税制の優遇措置を求めます。 それに対して、財務官僚は財政収支の悪化と政府債務の累積を回避しようとする視点を持ちながら、経費削減と税収の確保を求めます。
立法の行為主体
立法での行為主体は、与野党の議員です。与党の議員は、政策に関して基本的には首脳、行政と同じ立場を持ちます。ただし、与党の議員は選挙に対する利害を考えながら活動します。
野党の議員は、政府と与党との対立の中で、自身らの考える望ましい政策について、現政策との相違点を明らかにしながら議論を行い、それを次の選挙に結び付けようと行動します。
司法の行為主体
最後に司法の行為主体についてです。司法の行為主体は、裁判所です。財政、税制上法律違反や解釈の問題が出現したときに、裁判所は問題解決のために、法律の解釈を行います。裁判所の判断は、財政政策の決定に直接的な影響を与えることは少ないですが、間接的には大きな影響を与えることがあります。
財政政策の決定過程が多様なのはなぜ?
そもそも、財政制度改革が行われるのは、政治的、経済的、あるいは財政的な危機に直面しているときです。そしてこのような危機に直面した時、どのような政策が採用されるかは国によって異なります。なぜでしょうか?
一つは、国家形態の違いによるものです。たとえばアメリカは連邦制国家です。そこでは、州政府の財政への権限が強く、独自の財政政策を行うことができます。一方で単一制国家では、中央政府が財政政策の決定権を持ちます。したがって、国家形態の違いによって、財政政策の決定過程における行為主体の構成が異なり、それが多様性を生む要因となります。
また、単一制国家の中でも、集権的か分権的なのか、または社会維持サービスが充実しているかどうかは異なります。これらは、国家が成立した経緯に影響を受けます。(たとえば、戦争や革命を経て成立した国家は、集権的な傾向が強くなることがあります。)
代議制の仕組みも理由の一つです。大統領制、議院内閣制、それから議会の構成によって、権限の配分の仕方は多様になります。たとえば、議院内閣制では、議会の多数派が首相を選出するため、議会の構成が政策決定に大きな影響を与えます。一方で、大統領制では、大統領が直接選挙で選ばれるため、議会の構成とは独立して政策決定が行われることがあります。
また、小選挙区制や比例代表制など、選挙制度の違いによっても、地域の利害が政策決定に影響を与える度合いが異なります。小選挙区制では、地域の利害が強く反映される傾向がありますが、比例代表制では、全国的な政党の政策が重視される傾向があります。
それから、政党の主張とその勢力の違いによっても、政策決定の過程は異なります。各政党の勢力は国民の政治観を反映していて、それは独立や革命といった国家成立の過程、国際関係といった要因に影響を受けます。
4つ目の要因は、利益集団です。政策の決定に影響する利益集団は、伝統やその地域の特性、宗教といった要素によって組織化し、行動することがあります。
最後に
政策決定の行為主体と、多様性について、簡単にまとめました。詳細に記述はしませんが、政策決定の過程は利益集団やシンクタンクによる政策の提言、報道機関を通した国民世論によっても影響します。また、中央政府だけでなく、州や地方政府でも議案の策定、議会が存在します。政府間財政関係は、また別の記事でまとめます。